心臓病リスクは数値だけでなく、生活習慣や栄養状態とも深く関係しています。
なかでもビタミンDは、心臓や免疫の健康にも関わる重要な栄養素です。
本記事では、週刊ポスト(2024年6月28日号)に掲載された医師のコメントや研究データを引用しながら、日々の生活で役立つ情報を補足しています。
目次
記事レビュー
● 心不全 4大予兆 足のむくみ ピンクの痰 他には…
● 日光浴15分 鮭とキノコのホイル焼きが効果大
名古屋学芸大学大学院教授 下方浩史
心筋梗塞や心不全など心臓の疾患が増加中だ。突然死の原因ともなる心臓疾患は血管の老化によって引き起こされる。近年、その対策として注目されているのが、ビタミンDだ。この栄養素の摂り方や体内での作り方を徹底解説する。
「年を重ねると、誰しも心臓が衰えて弱くなっていきます。その結果、心筋梗塞や狭心症、心臓弁膜症、心房細動、不整脈などの心疾患を発症するリスクが高くなる。恐ろしい病気です」
そう話すのは、老年科専門医で、名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授だ。これまで、四十年、血圧症や糖尿病、動脈硬化などを指す「心疾患によって、心臓が正常に働かなくなり、血液を全身へ正常に送り出せなくなる状態を心不全と呼びます。
心不全は心臓病の一種で、息切れやめまいなどの症状が特徴。今や日本人の心不全の患者数は約百二十万人にまで増えました。悪性腫瘍の患者が約百万人ですから、ある意味、心臓病はがんより怖い病気とも言えるのです」
厚生労働省「患者調査」によれば、心疾患の治療を受けている患者の数は約三百五十八万人だった。前回調査(二〇年・約三百五万人)と比べると、五十万人以上増えている。それに伴い、死亡者数も増加傾向だ。厚労省「人口動態統計」(二三年)によれば、心疾患の死亡者数は約二十三万一千人。心疾患は、五十代以降の死亡原因の第二位となっている。
「医学の進歩により、がんは種類によっては完治も可能になった。しかし、心臓は手術が成功しても、元通りになることはほぼありません。徐々に心臓が弱って、心不全の状態になってゆく。だからこそ日頃から、しっかりと心臓を守ることが必要なのです」
突然死のリスクを避けるためにも高齢者は心臓を守る生活を心がけたい。そこで「九十歳まで健康長寿」を目指すシニアのために、心筋梗塞を遠ざける最新メソッドを紹介する。
下方教授は、まず心臓に大きな問題が起こっている場合の予兆を知っておいて欲しいと語る。
「気づかないうちに心筋梗塞(無痛性虚血性心疾患)や心不全を起こしている場合もあります。そこで定期的に次に示す心不全の四大予兆をチェックして欲しい。
一つ目は足のむくみです。すねを指で押してみてください。へこんだまま戻らないのはむくみのある証拠です。また、靴下を脱いでしばらく経っても跡が残ったままなのも同様です。心臓の機能が低下し、血液が行き渡らなくなると、体内に水分がたまってしまうことがあるのです。体重が一週間で二㎏ほど増える時は、体内に変化が起こっている可能性があります。毎日体重を計って、平均の数字を把握するようにしよう。
二つ目は咳や痰にまつわるものだ。
心不全が起こると、肺に水が溜まります。そうなると、咳や痰が出やすくなる。特に痰がピンク色で泡立っている場合、心臓の病気を原因とする肺水腫が起こっている可能性がある。一刻も早く病院へ行く必要があります。
残りの二つは、睡眠時に関わるものである。
「三つ目は身体を横たえるよりも座って寝たほうが楽な場合です。心臓が弱っていると、枕を高くして寝る、壁にもたれて寝るほうが楽な人がいるのです。
これは起座呼吸とも呼ばれ、肺に血が溜まっていて、横になった状態が息苦しく感じてしまうのです」
四つ目も睡眠時に起こる。
「夜間頻尿も危険です。高齢者は頻尿の人が多いのですが、夜間だけ頻尿になる場合があるのです。心臓の機能が悪いと、足に水が溜まりやすく、日中のおしっこの量が減る。ところが夜に寝ると、その水がおしっこになるから排尿の回数が増えてしまうのです」
これらの予兆があれば、直ぐに医師に相談したほうがよいと下方教授はいう。
心臓疾患は高齢者だけでなく、ストレスや生活習慣の乱れによって40〜50代でもリスクが高まる現代の“新国民病”とも言える存在です。本記事では、「足のむくみ」「ピンクの痰」「起座呼吸」「夜間頻尿」という初期兆候を取り上げ、日常的な観察の大切さを強調しています。
また、注目すべきはビタミンDの存在。
ビタミンDには抗炎症作用・血管保護作用があり、心筋梗塞や動脈硬化のリスクを下げる可能性があることが、近年の研究でも報告されています。
たとえば、キノコや鮭などの食品に含まれるビタミンDは、日光を浴びることでも活性化され、体内合成が促進されます。とくにキノコ類は唯一の植物性ビタミンD源であり、ベジタリアンや魚が苦手な方にも最適です。
当社が取り扱うハナビラタケも、ビタミンDが豊富な天然食材。
生活習慣の改善だけでなく、日々の食卓に手軽に取り入れることで、予防効果を支える力となるでしょう。
日本人の大半はビタミンD不足
「最新の研究において、心筋梗塞などの発症リスクを低下させるとして注目されているのがビタミンDです」
ビタミンDは、脂溶性ビタミンのひとつ。骨や歯の形成に関わるもので、カルシウムの吸収を助け、タンパク質の合成を促す栄養素である。
「近年、ビタミンDは健康長寿の鍵を握るとされています。昨年、米国でビタミンDが心臓病や慢性疾患のリスクを下げるという研究成果が発表されました」
米・テンプル大学の研究では、ビタミンDの摂取が女性の健康に重要な役割を果たすとした上で、心臓病、骨粗鬆症、乳がんなどの発症リスクを軽減すると発表した。
「ビタミンDは血圧を調整して高血圧を防ぎ、動脈硬化を予防する働きを持つ。加えて血管の柔軟性を保ち、炎症を抑えるため、心臓にも良い効果をもたらす。結果が出ています。他の国でも同様の研究成果が発表されています」
メルボルン大学とシドニー大学の研究によると、ビタミンDを摂取している高齢者は、摂取していない高齢者に比べ、心筋梗塞や心臓発作など主な心血管イベントの発症率が九%低いことが示されたのです」
ビタミンDは免疫機能を向上させる働きを持つと言われる。他にも、認知症や糖尿病の予防にも効果があるとして、世界中で健康効果に対する研究が進んでいる。
ただ、日本人の大半はビタミンDが不足している。
「東京慈恵会医科大学が、一九年四月から二〇年三月までの期間に東京都内で健康診断を受けた五千五百十八人を対象に調査を実施したところ、九八%がビタミンD不足に該当していました」
厚労省「日本人の食事摂取基準(二五年版)」によると、ビタミンDの一日の摂取量は……約六・九μgしかない。では、シニアはどのようにビタミンDを摂ればいいのか。
「ビタミンDを多く含む食材は鮭、サバ、イワシ、しらす干しです。他に、キノコ類や卵もビタミンDを多く含んでいる。ただ、多く含まれるからといって同じ食品だけを食べ続けるのは、よくありません」
文部科学省「日本食品標準成分表」(八訂・二三年)によれば、しろさけ(焼き)
一〇〇gあたりのビタミンD含有量は三九μg。一切れ食べると十分にビタミンDが摂取できる。ただ、毎日食べると塩分過多になるので、注意が必要だ。
前述の東京慈恵会医科大学の研究では、日本人は植物性のビタミンD2がほとんど検出されなかったという。要するに、キノコなどからのビタミンDが足りていないのだ。
「例えばキノコ類を鮭と一緒にホイル焼きにするなどしてビタミンDを摂取します。下方教授は、食事でビタミンDを摂取するだけではなく、体内で増やすことも重要だとする。
『実はビタミンDは体内で産生される。もっとも効率的に生み出す方法は、日光に当たることです。理想はウォーキングをしながら陽の光を浴びることですが、それが難しい人も多い。そういった場合は、ベランダや縁側での日向ぼっこを少なくとも一日に十五分行ってください。ベランダで洗濯物を干すのもよい運動で、しみながら出歩くことが、外へ出かけるだけでも、ビタミンDが作られる。楽しくしながらであれば、継続しやすいのだ。
日光浴の効果もあります。ただし夏場は熱中症の危険もあるので、朝や夕方の涼しい時間帯に浴びましょう。
心筋梗塞をはじめとした心臓病の予防には、生活習慣の改善も欠かせない。
「心臓が悪くなるのは、加齢による動脈硬化が大きな要因です。心疾患の予防には、血圧管理が重要です」
特に収縮期血圧(上の血圧)が、ポイントだという。
「高齢者は拡張期血圧、つまり下の血圧はそこまで上がりません。動脈硬化によって血管がカチカチになりやすいシニアは、心臓が拡張している際の血圧が上がりづらい。逆に、収縮している際に固い血管に圧力がかかって上の血圧が上昇します。上の血圧は一四〇㎜Hgくらいに抑えておいたほうがいい。それ以上なら、降圧剤を飲んで治療すべきでしょう。高齢者の場合、血圧を下げすぎると起立性低血圧となり失神や転倒の危険があります。血圧をしっかりコントロールできていると、心筋梗塞のリスクは下がります」
この引用文は、LDLコレステロールの高さと心筋梗塞リスクの関連性に関する注意喚起として非常に有益です。特に以下の点が印象的でした:
- 大阪大学による大規模・長期追跡調査:16〜28年という長期にわたり8,000人以上のデータを追った結果、LDLが高い群では心筋梗塞リスクが約3.8倍に上がるという統計的裏付けが紹介されています。
- “和食中心=安心”ではない食習慣の落とし穴:脂質の多い食事は少ないものの、「揚げ煎餅」「ドーナツ」などの油を使った間食習慣が、特に高齢者で見逃されがちであるという指摘は、日常に潜むリスクに気づかされます。
- 青魚や緑黄色野菜などの推奨食材:LDL低下に有効とされる食材として、サバ・マグロ・ブロッコリー・大豆製品などが挙げられ、食事の中で無理なく取り入れられる点が実用的です。
このような文脈において、ビタミンDを含む食材の役割にも注目したいところです。ビタミンDは血中脂質や免疫調整に関与する可能性が指摘されており、脂質異常症の予防にも寄与するとの報告もあります。特に、青魚やきのこ類に豊富に含まれ、脂溶性であることから、魚介類との調理相性も良いのが特長です。
たとえば、ハナビラタケのようにビタミンDと食物繊維を同時に摂れる食品は、日常の健康維持において頼もしい存在となります。青魚や野菜との組み合わせメニューなど、日々の食卓の工夫が、将来のリスクを下げる一歩になるかもしれませんね。
サバでコレステロール対策
血圧以外のリスクとして、LDL(悪玉)コレステロールもある。
「LDLコレステロールが高いと、心筋梗塞のリスクが上がると言われています。日本の高齢者は、脂質の多い食事に偏ることは少ないのですが、揚げ煎餅やドーナツなどの油を使ったお菓子を食べる人が意外と多いので注意しましょう」
大阪大学の研究(一二年)で、四十一〜六十九歳の日本人を対象として、脳卒中や冠動脈疾患に罹ったことがない八千百三十一人を十六〜二十八年間追跡調査したところ、LDLコレステロールが一四〇㎎/dl以上だった人は、八〇㎎/dl以下だった人に比べて心筋梗塞の発症リスクが約三・八倍だったという。
では、LDLコレステロールを下げるために効果的な食材は何か。
「サバやマグロなどの青魚や抗酸化力の強いブロッコリー、人参、ほうれん草などの緑黄色野菜、豆腐や納豆といった大豆製品です。毎日の食事の中でバランスよく組み合わせて欲しい」
高血圧や高脂血症、糖尿病は、降圧剤などの治療薬で数値が下がって改善できる。
「過度な肥満はよくない。心臓病のリスクを下げるためには、BMIはどれくらいがいいのか。
『肥満について数値を示すのは個人差が大きく難しい。ただ、私はBMIが二六、二七くらいまでならギリギリ許容範囲内だと思っています。身長が一六〇㎝の人なら標準体重が約五六㎏ですが、六五㎏くらいの人は大勢います。標準体重より一五〜二〇㎏以上太っているなら過度の肥満です」
ただし高齢者にとって、急激な減量は栄養不足を招き、筋力低下につながってしまう。すると、運動どころかフレイル(虚弱)に陥ってしまい、本末転倒だ。
「肥満の方はそれだけで心臓に負担がかかっているので、無理に運動をすると心筋梗塞などが起こることもある。かかりつけ医と相談しながら、減量の計画を立てるほうがいいでしょう」
心筋梗塞など、心臓病から命を守るためには、予防が肝心。細心の注意を払って、日々を過ごそう。
大阪大学による長期追跡調査では、LDLコレステロール(悪玉)が高い人は、低い人に比べて心筋梗塞のリスクが約3.8倍に上昇することが示されています。さらに、意外にもドーナツや揚げ煎餅など油を使ったお菓子が、高齢者の脂質バランスに影響を与えている点にも注意が必要です。
記事では、LDL対策に役立つ食材として、以下のような食品が挙げられていました。
- 青魚(サバ・マグロ)
- 抗酸化力の高い緑黄色野菜(ブロッコリー・人参・ほうれん草など)
- 大豆製品(豆腐・納豆)
これらに加えて注目したいのが、ビタミンDを豊富に含む食材です。
ビタミンDの注目ポイント
- 脂質代謝や慢性炎症の抑制、免疫の調整に関与
- 特に高齢者では体内合成量が減少するため「食事からの補給」が重要
- 脂溶性ビタミンであり、脂質と一緒に摂ることで吸収率アップ
中でもおすすめしたいのが、ハナビラタケです。
きのこ類の中でも特に、
- 天然のビタミンD(エルゴカルシフェロール)を多く含む
- βグルカン(食物繊維)やカリウムも豊富
- 独特の食感で料理に使いやすく、冷凍・乾燥保存も可能
おすすめの組み合わせ例:
サバとハナビラタケのホイル焼き
- 青魚ときのこを一度に摂取できるバランスの良い一品
- 味噌やオリーブオイルと合わせれば、風味も豊かで栄養価もアップ
- ホイル調理なので減塩しやすく、片付けも簡単
コレステロール管理や体重管理において重要なのは、
「控える」ことだけでなく、「取り入れる」視点を持つことです。
ハナビラタケのように、栄養価と調理のしやすさを兼ね備えた食材を日常的に取り入れることで、無理のない健康習慣を継続することができます。
わたしたちの商品も、そのお手伝いができれば幸いです。
まとめ
本記事では、週刊誌記事(週刊ポスト2024年6月28日号)を引用しながら、心臓病リスクを下げるため本記事では、週刊ポスト2024年6月28日号の記事を引用しながら、心臓病予防のために意識したいポイントを3つの観点からご紹介しました。
- 「足のむくみ」「ピンクの痰」など、心不全の4大予兆に早期に気づくことが重要とされ、対策として「日光浴15分」や「鮭ときのこのホイル焼き」が効果的であることが紹介されました。
- 日本人の大半は慢性的なビタミンD不足にあり、骨の健康だけでなく心血管の健康にも影響している可能性があることが専門家の見解として述べられています。
- LDLコレステロールの管理には、サバやブロッコリー、納豆などの食品をバランスよく摂ることが推奨されており、極端なダイエットではなく、栄養を維持した改善が勧められています。
これらを踏まえ、心臓の健康を守るには、日常の食事を通じたビタミンDの継続的な摂取が鍵になります。
当社で取り扱っているハナビラタケは、ビタミンDを豊富に含むきのこ類のひとつであり、日常の食卓に手軽に取り入れやすい食品です。
心臓病のリスクを下げたい方、ビタミンD不足を補いたい方は、ぜひ毎日の食事に「ビタミンDの力」を意識して取り入れてみてください。
出典
週刊文春 2025年6月12日号
【90歳まで健康長寿 連載14】ビタミンDで心筋梗塞を防ぐ
監修・コメント:名古屋学芸大学大学院教授 下方浩史






