ビタミンDが様々な働きをして活躍するということは、前回のコラムまででもご紹介してきました。
今回は、体の中の免疫機能との関わりについてご紹介していきます。
ビタミンDを摂取して、強い体を手に入れましょう!
風邪や感染症から体を守るビタミンDの働き
前回のコラムでもご紹介した通り、ビタミンDは骨を強くする栄養素として知られています。ただ、ビタミンDの機能はそれだけではありません。実は、私たちの体を感染症から守る「盾」の役割も果たしているのです。ビタミンDは、体内で免疫細胞を活性化し、病原菌やウイルスに対する防御機能を強化します。これは、警備員が怪しい侵入者を見つけて排除するようなもので、ビタミンDが免疫システムを適切に働かせることで、体が感染症にかかるリスクを減らしているのです【1】。
例えば、風邪を引きやすい人や感染症にかかりやすい人は、ビタミンDのレベルが低いことが多いと報告されています【2】。また、最近の研究では、ビタミンDが新型コロナウイルス(COVID-19)の重症化を防ぐ可能性があることも示されています【3】。ビタミンDを十分に摂取することで、風邪やインフルエンザ、その他の感染症に対する自然な防御力を高めることができるのです。
免疫システムとビタミンDの関わり方
ビタミンDは免疫システムの「司令官」のような存在です。免疫システムは、外部から侵入する細菌やウイルスと戦うための複雑な防御メカニズムで、これを適切に指揮するためにはビタミンDが欠かせません。具体的には、ビタミンDは体内の免疫細胞(マクロファージやT細胞)を活性化し、異物を効率よく認識して攻撃するように指示を出します【2】。さらに、ビタミンDは炎症反応も調節する役割を持ち、過剰な免疫反応を抑えて体が自己免疫疾患に陥るのを防ぐ働きもあります。
この「司令官」としての役割により、ビタミンDが不足していると免疫システムはうまく機能しません。つまり、体が外部からの脅威に対応する力が弱まり、感染症にかかりやすくなってしまうのです。適切なビタミンDレベルを保つことは、体が効率よくウイルスと戦える環境を整えることでもあるので、常日頃から意識して日光を浴びたり、魚やきのこ等を摂取するようにしていきましょう。
免疫システムをサポートすることで病気になりにくい体を作る
ビタミンDは、体内の「防御システム」を強化することで、病気に対する抵抗力を高めます。これは、家の周りに頑丈なフェンスを建てて、侵入者が簡単に入ってこれないようにするのに似ています。ビタミンDはこのフェンスを強化し、体が病原菌やウイルスに簡単に打ち勝てるように準備を整えます。
ビタミンDを日常的に十分摂取することで、風邪やインフルエンザだけでなく、肺炎などの重篤な感染症にもかかりにくくなることが分かっています【3】。特に冬季や日照時間が少ない時期には、ビタミンDの生成が低下するため、食事やサプリメントでの摂取を意識することが重要です。
世の中では、免疫力を保つために色々なサプリメントや色々な成分がご紹介されています。その中でもビタミンDの摂取は、最も手軽で自然な免疫力を保つ方法の一つです。体の免疫機能を強化するためにも、しっかりと継続してビタミンDを摂取していきましょう!
参考文献
- Martineau AR, et al. Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: systematic review and meta-analysis of individual participant data. *BMJ*. 2017;356:i6583.
- Aranow C. Vitamin D and the immune system. *J Investig Med*. 2011;59(6):881-886.
- Grant WB, et al. Evidence that vitamin D supplementation could reduce risk of influenza and COVID-19 infections and deaths. *Nutrients*. 2020;12(4):988.






