自然界の幻のきのこといわれている「ハナビラタケ」。自然界では夏から初秋にかけて高山地帯のカラマツ等の針葉樹の根本で自生しますが、なかなか目にすることが出来ない希少なきのこです。
ハナビラタケメディアを運営している株式会社森の環(もりのわ)では、人工栽培に挑戦しました。流通量はまだ多くありませんが、美しい見た目と健康につながる「ハナビラタケ」を多くのご家庭に届けられるよう生産体制を整えています。
本コラムでは、ハナビラタケの菌の培養から生育・成長を「1.種菌培養」「2.培地生成」「3.培地殺菌」「4.種菌接種」「5.培養」「6.発生」「7.収穫」の各過程にそってお伝えします!
目次
簡単には増やせず収穫が難しいハナビラタケ
白い花弁、または白いサンゴ礁のような見た目をしているハナビラタケは、自生している大きいものだと高さ30cm、幅40cmと、ちょうどバレーボールと同じぐらいの大きさになります。
ハナビラタケの成長には、「湿度が高い」かつ「日陰で涼しい」「マツ科の木の根元」が必要になります。自然界だと、標高の高い針葉樹林がこの条件に当てはまりますが、天然のハナビラタケを見つけだすのは中々難しいものがあります。
ハナビラタケは高級食材として、またβ-グルカンを豊富に含む健康的な食材として注目されていますが、自生しているハナビラタケの収穫するのは難しいため人工栽培による収穫が期待されています。
ただ、ハナビラタケの生育条件が、他のきのことは違って少々特殊なことに加えて、菌が非常にデリケートなため、気をつけて作業を行わなければ簡単に全滅してしまうことから、人工栽培をするには、長い期間と独自のノウハウが必要になります。


ハナビラタケの生育・成長過程
それでは、ハナビラタケの種菌の培養から始まり収穫までの各成長プロセスをお伝えします。
1.ハナビラタケの『種菌培養』
“種菌”とは、植物でいうところの種にあたります。これを非常に多くの用意するところから、栽培が始まります。菌の培地となるものと栄養体を合わせてハナビラタケ専用の培地を作り、そこで菌糸体から「種菌を培養」していきます。
1回の培養で3ヶ月かかるため、この培養から収穫までに必要な期間は約半年となります。
2.ハナビラタケの『培地生成』
種菌培養時と同じく、ハナビラタケの栽培に適した「培地を生成」します。
もりのわでは、国産間伐材を培地に使用し森の循環に貢献するよう工夫しています。
材料の乾燥具合や、栽培時期の気候、天気に合わせて混ぜる水の量を調節し、十分に攪拌すれば、生成完了です。
3.ハナビラタケの『培地殺菌』
生成した後、袋や瓶に詰められた「培地を殺菌」していきます。
ハナビラタケの菌は他の菌が混ざるとダメになってしまうため、培地の殺菌は非常に重要な工程です。
4.ハナビラタケの『種菌接種』
殺菌が完了して、雑菌が付着しないよう徹底管理しながら冷却された培地に、細心の注意を払いながら、「種菌の接種」を行います。
接種にかかわる人は、身に着けるものから自身の身体まで、全身を消毒して作業に臨みます。
5.ハナビラタケの『培養』
種菌を接種した培地を「培養」していく工程です。培養によるハナビラタケの成長期間は、2ヶ月以上にわたります。
この期間を短縮せずに、自然発生と近い期間をかけて培養することで、良質で厚みのあるハナビラタケを育てられるためです。
その間、培養している環境をハナビラタケの自生環境と似たような状態に、24時間保ち続けなければなりません。湿度や温度はもちろんのこと、酸素濃度や二酸化炭素濃度に至るまでチェックします。
6.ハナビラタケの『発生』
培養に成功し、菌床にしっかり根付いたハナビラタケが成長を始めます。この工程が「発生」です。ハナビラタケは1ヶ月かけて、子実体と呼ばれる≪はなびら≫を咲かせます。
7.ハナビラタケの『収穫』
発生したハナビラタケの様子を常時観察して、成長しすぎてしまう前に、大切に「収穫」します。



【菌床栽培のハナビラタケ写真-(株)森の環】
特殊な生育条件が必要でとてもデリケートな幻のきのこハナビラタケ。人工栽培するには『培養』から『収穫』までとても慎重に半年間かけ栽培する必要があります。
もりのわが栽培する「花びら茸」は、栽培に使う水も富山の地を流れる日本有数の庄川の名水(軟水)です。水にこだわって半年以上かけて大切に育てた「ハナビラタケ」を見つけた際には、成長過程を思い浮かべていただきながら、ぜひ、味わってお召し上がりいただけると嬉しく思います。
下記コラムも公開していますのでご参考いただければと思います。
『希少きのこ「ハナビラタケ」の見た目と特徴~様々な料理に活用できる育菌食材~』
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